March 2015

3月のインテリアレポート:


3月のインテリアレポートは私の家です。
イギリスのカントリーリビングスタイルをコンセプトに改修した家は竣工までに2年かかりました。
ちょうど10年前の3月に住居部分が完成をし無事にお引越ししました。
あれから10年、家も庭も私達家族とともに少しずつ変化をしてきました。
リフォームをしていた頃のわくわくした楽しい想いを思い出しながらレポートをいたします。


   
BEFORE

築30年の重量鉄骨造の家。
四角いシンプルな家の形が
とても気に入りました。
AFTER

 窓は家の顔を作ります。
居室ごとに窓の位置と形を決めるとき
外から見える顔をいつも意識します。


       
 自宅への入り口はお庭を見ながらは入れる位置にしました。
ポーチからお庭が一望です。
 イギリスから直輸入したアンティークドアは使い込まれたモノの持つ豊かなキャラクターがありますね。気候の良い春から秋にかけて夕刻はいつもポーチの椅子に座ってお庭を眺めることが日課になっています。  玄関ホールは家の顔。来客はこの小さなスペースから
私達のライフスタイルを感じとります。
 子供のFirst Shoesは思い入れが強く処分できません。小さなフレームに入れたらよみがえりました。この靴がここが玄関であることを思い出させます。
       
 2階ホールからリビングルームへの入り口。
2200mmの高さの扉は元は大きな開き扉に付いていたサイドパネルでした。職人さんに頼んでドアに改良してもらいました。
 元は和室が2室つづくお部屋でしたが仕切りを取り広いリビングルームに。これから老年に向かう年齢を考えシンプルな作りにしました。
廊下のないオープンスペースからモノが見渡せお掃除も簡単に済みます。
 この家は扉の付いた収納スペースを少なくし代わりにキャラクターのある家具収納を充実させました。大小の引き出しには生活に必要なものがぎっしり詰まっています。  壁面は大きなインテリアの見せ場になります。この壁は現在は絵画や写真のギャラリーになっていますが将来ものが増えたときは収納のためのスペースになります。
       
 ダイニングテーブル横のサイドボードも正面の窓に合わせて製作しました。リネンやグラスなどお食事のときに必要なものがすぐ出せるように配置しています。  ここは以前はバルコニーでした。日当たり良好な上窓から鎌倉山の緑を通して遠くに丹沢山脈が見えます。玄関からは一番遠い位置ですがここをキッチンにしようと即座に思いました。居心地がよくてお料理もはかどります。  中央のロンドンシンクがこのキッチンの形を作っています。カントリーリビングスタイルをコンセプトにデザインしました。毎日使うキッチンツールや食器はオープン棚に収納したので楽しく見えるディスプレイを心がけています。  先程のパネルドアからまた階下へ戻ります。
建具は細身で高さのあるものほどお洒落感がでます。
       
 一階ホールから外へ。アウトドアリビングへの入り口でもあります。  庭造りも12年目になりました。はじめの頃は何度かやり直しをし植物を植えなおしたりと試行錯誤の日々でしたがようやく形が出来てきました。  夏の庭はハーブ、ローズや花々の良い香りに満ちています。庭にはフォーカルポイント(見せ場)が必要です。左上の白いオブジェは水場ですが裏に配置したコンポストを隠す役割も果たしています。  お庭と自宅への入り口。アイアンゲートは奥が透けて見えるのでそれだけでわくわく感がありますね。正面の小屋は自転車や薪置き場です。
       
 父が20年ほど前にチーク材で作ってくれたベンチは庭仕事のあとの休憩場所になりました。この位置からお庭を眺めると花の様子が良く分かります。  イギリス人に”あなたにとってお庭とは?”という質問をすると全員が”もうひとつの部屋”と答えます。
アウトドアリビングとして皆で楽しむことが英国人の庭造りのコンセプトですね。
 初夏に一度だけ咲くキングローズ。可愛い濃いピンクの花はお庭を元気にしてくれます。ひとつだけ困るのはキングローズは強い花のため他のローズがだめになってしまうことです。植えるときは他と離すことをお勧めします。  既成のアルミフェンスは機能的ですが味気ないですね。オリジナルウッドフェンスは経年して素敵な雰囲気が出てきました。


家や庭はその人自身を表現するツールだと思います。自分にとって居心地のよい空間をつくることが目的です。

忙しかった東京での仕事を離れ鎌倉で英国をコンセプトにしたショップをオープンしたとき私が一番好きなスタイルを表現しました。
カントリーリビングスタイルは鎌倉山でのスローなライフスタイルにぴったりはまりました。毎日のお天気を心配しながら庭仕事をしている英国の友人達を見習い私も光や風を感じ自然からの贈り物に感動する暮らしを送っています。

インテリアスタイルはこれで最後ということはありません。これからまた年月が過ぎ環境が変わればライフスタイルも変化します。その時々の自分の暮らしに応じてインテリアを楽しめればいいなと思います。


2015年3月28日 荻野洋子


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